望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 姉は上掛けを身体に巻き付けて、その場から逃げようと試みる。だが、それを阻止したのはカレンの魔法。ダレンバーナの騎士達と同じように足元だけを固定する。

「ロバート。あなたの剣を貸してくださらない?」
 カレンの声は低く、そして冷たい。

「奥様」
 ロバートは眉根を寄せた。

「いえ。いいわ。あなたの剣をこの汚らわしい血で汚してしまうのは、気が引けるもの」

 言うと、ゆっくり歩き出し、身動きできない騎士の一人の腰からその剣を抜き去った。すると、そこに手が伸びてくる。

「貴様。妃殿下に何を」
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