望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 足元だけ固定したから、手は自由に使える。だが、それもカレンがわざとそうしたからだ。

「死にたくなければ、その手を離しなさい」
 冷たく命じる。

「離してはダメよ。他の者が来るまで、そうやってその手を掴んでおきなさい」
 姉のかな切り声。

 その時、カレンの脇を黒い影が横切り、それは王太子妃の前で止まった。
 すっと、腰から剣を抜き、その女を一刺しにする。

「ロバート」
「妃殿下」

 カレンは捕まえられていた手に力を込める。火花が生まれる。
 彼は予想していなかったのだろう。ダレンバーナの騎士はその火花に驚いたのか、もしくは痛みを感じたのか、手を離してしまった。

「ロバート。あなた、なんてことを」
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