望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「レイ、まだシーツを取り換えておりませんが」

「これでいい」
 上掛けの布団を耳元までかけて、レイモンドは寝たふりをしている。

「そうですか。では、私は朝食をいただいてきますね」

 返事はなかった。レイモンドは妻の匂いに包まれて、静かに寝息を立てていた。


 食堂に行くと、すでにアドニスがゆったりとお茶を飲んでいた。

「兄さんは?」

「おやすみになられました」
 カレンは答え、椅子に座る。メアリーが黙ってお茶を出す。

「義姉さんと話をしたいから、席をはなしてくれる?」
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