望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う

「カレン」
　男はカレンの名を呼ぶ。
「もっと近くに来て、その顔を見せてくれないか？」

　腕を伸ばせば届くような距離にまで近付く。

「ああ、レイアに似ているな」
　息を吐くように、その言葉を紡いだ。
「カレン。君は間違いなく、私の子だ」

　ドキリと心臓が跳ねたような感覚になった。思わず肩が震えた。けして、母親が口にしなかった父親のこと。そして、ブレイグが一年前に口にしたこと。

『あなた様は、陛下と王宮魔導師の娘でございます』
　嘘か誠かわからなかったその言葉。それが今、真実であると