望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 豹は気持ちよさそうに目を細めた。
 ここに来てこうやって豹の頭を撫でながら、カレンは一人でいろいろと気持ちを吐き出していたようだ。メアリーは少し離れた場所で様子を伺いながら、周囲を警戒しているし、カレンにとっては誰にも聞かれたくない心のうちを吐き出すにはちょうどよいのかもしれない。

「兄さん、僕たちは大事なことを忘れていましたよね。一番大事なことです」

「何だ?」

「そもそも、ダレンバーナに第四王女はいなかった」

 アドニスのその言葉にレイモンドも息を飲む。弟が言う通り大事なことだ。なぜそれに気付かなかったのか。

「冷静に考えればわかることです。あそこは第三王女までしかいなかった。その第三王女がここの王族に入り込んだ。第一王女と第二王女はすでに嫁いでいましたからね。だから、兄さんは安心したのではないですか? 自分のところにダレンバーナの王族の人間が来ないということに」
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