望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「一年前に屋敷に来た料理人ですが」

「それがどうした?」

「ダレンバーナの息がかかった人間のようです」
 うっ、とまたレイモンドは息を飲んだが、それを弟には悟られないようにとすぐさま平静を保つ。

「それも、あの女が言ったのか?」

「はい。義姉さんの命を狙っているようですね」
 そこでレイモンドは、豹の頭を撫でていた手をふと止めた。

「なぜダレンバーナの人間がダレンバーナの王女の命を狙う?」

「兄さんを殺すための口実が欲しいのではないですか? ダレンバーナの王女が亡くなったとなれば、それの責任を取るべき人間は兄さんだ」

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