望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 だが、勘の鋭いメアリーは気付いていた。豹は面倒くさい奴に見つかったな、と心の底から思っていた。

「おやすみなさいませ、奥様」
 頭を下げてメアリーがカレンの部屋から出ていくと、黒豹はゆっくりと部屋へと入ってきた。

「大丈夫よ。その怪我、治してあげるからね」

 黒豹は昨日からの定位置にのそりと横たわった。後ろ脚を投げ出している。その姿勢はやれるもんならやってみろ、と言っているようにも見えた。
「その前に」
 カレンは黒豹の首に組紐をかけた。刺繍紐を複雑に編んで、輪っかにしただけのもの。
「これに魔法付与を行ってみたから、あなたを守ってくれると思うの。悪い人間に、見つからないようにってね」

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