舞台の上で輝いて

ワァーと団員から拍手が起こった。
みんな心からの笑顔を見せている。

「橘さん、おめでとう。」
「橘さんの今日の踊りを観たらプリンシパルというのも頷ける。」
「素晴らしい。」

みんなが口々に祝福の言葉を述べてくれる。

今度こそもう我慢できない。
両方の瞳から涙が溢れ出す。

「ありがとうございます。ありがとうございます。本当に嬉しいです。やり切れて本当に良かった。これからもバレエに精進します。頑張ります。よろしくお願いします。」


熱気も収まってみんな三々五々、楽屋へ帰っていった。

私はまだ少しぼーっとしていて、舞台の上に残っていた。
感動の余韻がまだ残っていた。


「香織ちゃん」

私の大好きな優しい甘い声が聞こえた。
声のする方に顔を向けると、まだ王子の衣装を身につけたままの拓也さんがいた。

そういえば、舞台の幕が閉まってから、まだちゃんと話してない。

「お疲れ様でした。今日はありがとうございました。拓也さんがパートナーだったからこそ、今日の舞台上手く出来た気がします。」

声をかけられたのに、こちらから話し始めてしまった。

「こちらこそ、今日はありがとう。良い舞台だったね。」

「はい。」

「明日は休演で次の舞台は明後日だから、良かったら、今日これからご飯を食べに行かない?」

「はい。」

舞台の余韻から覚めてない頭は、迷う事なく即答する。
本能のままの決断だ。
きっと普段だったら色々考えて答えられなかったはず。


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