舞台の上で輝いて
「はい。でもなんでそれを…?」

「実はあのコンクール、僕の後輩の男の子が出ていて、ちょうど時間が空いていたから観にいってたんだ。その時に香織ちゃんの踊るキトリを見て、凄く心を惹かれたんだ。
技とかはまだまだ荒削りだし、見ていてハラハラする所とかも沢山あったんだけど、ね。」

と言って拓也さんはクスッと笑った。
多分、当時の私の踊りを思い浮かべたんだと思う。

「当時は僕自身プロのダンサーになって必死で与えられた役をこなして毎日忙しかった。
だけど、どうしても香織ちゃんの踊ったいる姿が忘れられなくて。
香織ちゃんの習っている、雪園バレエスクールの発表会とかこっそりと見にいったりしたんだ。
毎年発表会してたでしょ。
毎回、コンクールの後3回とも全部観に行ったんだよ。」

そんな事知らない。
舞台で踊る拓也さんに憧れて、物凄く努力していたあの頃、拓也さんも私の事を観ていてくれたなんて。

「努力しているのが良く分かった。
技術的な事は本当に観る度に上達してたからね。
僕は何でこんなにこの子に惹かれるんだろうとずっと考えてたんだ。
もちろん、バレエに対する真摯な姿に好感もてる。
でもそれだけじゃなくて、音のとり方、空気感、役に対する解釈の仕方とか全部が全部心に響いたんだ。
いつかこの子と一緒に踊りたいとその時からずっと思ってたんだ。」
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