舞台の上で輝いて
私の踊りをそんな風に思っていてくれたなんて。

「だから、香織ちゃんが東条カンパニーに入団した時はとても驚いたし嬉しかった。
でも、香織ちゃんは僕の事知らないだろうからいきなり話しかけたら驚くだろうし、下手に悪目立ちしたら入団したばかりの香織ちゃんが困るだろうなと思ったから、なるべくさりげなく接していたんだ。
挨拶しかしてなかったよね。
僕たち。」
と言って拓也さんはまたクスッと笑った。

「挨拶しかしてなかったけどね、でもずっと見てたんだ。毎日早く来てスタジオを掃除してくれてたのも知ってる。
自分の身体と良くコミュニケーションをとって身体の限界を見極めてポジションの確認してるのも知ってる。
だから、香織ちゃんの身体のラインは凄く綺麗で芸術的だと思う。
それだけじゃなくて、友達と仲良く話してるのも実は聞こえてきたりしてたんだ。
アーティストの岩井さんと良くおしゃべりしてるよね。
自分は話してないのに、話してるのを聞いていたら香織ちゃんの人柄とかも分かってきて、そうしたら益々気になって。
好きなんだなって気がついた時に、もう一つ気がついたんだ。
ATCバレエコンクールの時の香織ちゃんに実は一目惚れしてたんじゃないかなって。
その時は気がつかなかった。
香織ちゃん、まだ中学生だったしね。
ただただ踊りが気になる、惹かれるとしか思わなかった。
でも、思い返せばそういう事なんだろうなって。」
拓也さんがちょっと恥ずかしそうな表情をした。
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