舞台の上で輝いて

「では、姫、よろしくお願いします。」
とおどけながら手を差し出した結城さんに思わず微笑んで、
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
その手のひらにそっと自分の手を重ねた。

音楽をかけて踊り出す。
ピルエットもタイミングがぴたっと合って綺麗に回転出来た。
持ち上げてもらうリフトもぴったりのタイミングで、軽く上へ上へとまるで飛んでいるみたいに体重を感じさせない良いリフトが出来た。
アラベスクも、軸にする足、伸ばす足の向き、角度、そして腕のアームスのラインと完璧にフォームが決まった。
細かい事だけど、腕も脚も背中も1ミリずれるだけで雰囲気が全く変わってしまうから、初日で完璧と思えるポーズが取れる事に驚いた。