舞台の上で輝いて
色んな事を考えて集中力がなくなっている。
そうなると、余計に身体が動かなくなる。
どうしよう…泣きたくなってきた。

プチパニックに陥り始めた時、結城さんが声をかけてくれた。

「やっぱり、いきなり合わせるんじゃなくて、この作品の事を少し話そうか」
「ロットバルトの呪いで白鳥にされてしまったオデット、どう思う？」
「王子の事を思うオデットの心の中はただ好きという以外でどう思っていると思う？」
「自分の事だけでなくて他の白鳥にされた子達も守ろうとするオデットだけど、その時のオデット心情はどうだと思う？」

色々と質問をしてくれて、小さな頃から大好きだった白鳥の湖なので、私の中で思い描いている白鳥の湖の世界を思わず、熱く語っていたら、
クスッと笑われた。
「緊張もとけたみたいだね。じゃあそろそろ踊ろうか」

言われて、気がついた。
あっ、身体から固さが消えてた。

まるで緊張を解く魔法をかけられた様に、気持ちがリラックス出来てる。
オデットの内面を沢山話していたから、気持ちもその世界に入ってきた。
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