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「あの時も言ったけど、俺と朱君は友達だから。
朱君自身が助けてくれって言って来るなら助けるって、俺言ったの覚えてる?」


"ーーでも、朱君とは友達だから。
朱君自身が、ふうちゃんに脅されて困ってるから助けてくれ、って言って来たなら。
その時は、ふうちゃんを止めてあげるけどーー"


「んー、説明するより、見る方が早いね。
朱君と、うちの店に行ったでしょ?」


うちの店って、笑い鳥?


「はい。あの事が起こる前に、【笑い鳥】に」


蒼君が、交番の前で撃たれる前に、
私達は近くの【笑い鳥】に行った。


「俺、前に朱君に話した事が有って。
アンケートとか、全部目を通してるって」


「そうなのですね…」


そういえば、食事券が抽選で当たるとかのアンケートに、
蒼君が書き込んで、レジ横のポストに入れていた。



「あ、ちなみにそのアンケート用紙、これね」


そう言って、一枝さんに渡された紙。


確かに、あの時蒼君が書いていたものに、間違いない。


武田蒼と書かれた文字を見ると、
ゆっくりと視線を下げ、アンケートの項目、そして、ご意見ご感想の欄を見る。


[みんな美味しかったです。

気に入ったのは、牛肉

をご飯に巻い

たのと、

スルメにマヨ醤油をつ

けて、食べるやつです。

てんぷらも美味しかったです]


やはり、子供の作文のような文章。


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