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「ふうちゃんが今からどうしても会いたいって言うから、
俺、もう寝る所だったのに、こうやって出て来たのに。
なに、この子?」


それは、深夜のファミレス。


あの後すぐに、永倉さんは一枝さんにアポを取り、こうして呼び出してくれた。


「いいじゃねぇか?
お前の家、すぐそこのマンションだろ」


そうなんだ。


すぐそこにある、あの高そうなマンションかな?


「で、何?
俺に用があるのは、ふうちゃんじゃなくて、紫織ちゃんなんでしょ?」


私の名前、覚えてくれているんだ。


「ああ。
だから、俺はもう帰る」


そう言って、永倉さんはファミレスから出て行った。


飲みかけのコーヒーを残して。



「俺も、なんか飲もうかな?」


一枝さんは、テーブルの上のタブレットを触っている。


「あの、オーナー」


「一枝でいいよ」


「じゃあ、一枝さん。
あなたと蒼君…いえ、上杉朱さんとの出会いを教えて下さい」


「なんか、尋問されてるみたい」


そう苦笑している。


「答えられないなら、無理には聞かないです…」


やはり、この人は何も蒼君の事を教えてくれないかもしれない。



「朱君とは、仕事の取引で知り合った。
俺、本業って言い方変だけど、居酒屋の経営してて」


「居酒屋…」


それで、この人はこんな遅く迄起きてたのだろうか?


つい数時間前迄、居酒屋で働いてて。


でも、この人がそんな体力仕事をしているようにも見えないけど。


「上杉製菓さんには、アイスに添えるウエハスや、うちで出してるお菓子の盛り合わせで数点下ろして貰っていて。
それで、上杉製菓専務の朱君とは接待がてら食事行って」


へぇ、居酒屋相手の接待に、専務が出て来るのか。


その居酒屋、わりと大きなお店なのかな?


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