ゲーム友達




「早坂ー!なに他のクラスの女子口説いてんだよ」

しゃがみ込んだままの私たちに、どこからかそんな野次が飛んできて、私は慌てて立ち上がった。


早坂くんが「お前のせいで口説き損ねたわ」なんて野次の出どころに向かって返事をすると周囲から笑い声が聞こえた。


こんな風に悪目立ちするなんて、本当に最悪だ。


「とにかく。諦めるなよ、あかり」

「…名前で呼ばないでってば」

八つ当たりも込めて再び言うと、早坂くんは「面倒くせーよ」と呆れたように頭を掻いた。




ムッとしたけれど、確かに面倒なわがままを言っているのは私だ。





早坂くんに気持ちを伝える勇気が無いなら。
踏み出せないなら。
わざとボールに当たれば良いだけの事だ。







そうこうしている間に遠くに飛んでいったボールを拾いに行った生徒が戻ってきて試合が再開された。








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