ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 そう。これこそが、周囲がエディロンがシャルロットを寵愛していると勘違いするもうひとつの大きな理由だった。
 ダナース国に来た当初は滅多にここを訪れることがなかったエディロンだが、ここのところ毎日のようにシャルロットの下を訪ねてくるのだ。

 祝賀会の日程が近づくにつれて会いに来る頻度が増えたのは祝賀会に向けての事前打ち合わせだったのでシャルロットも疑問には思っていなかった。
 しかし、終ったあとも変わらず毎日のように訪問してくるので、いつの間にかすっかり『陛下は婚約者であるシャルロット王女をとても寵愛している』と噂になっているらしい。

「ようこそ、陛下」

 シャルロットは自分の前のソファーをエディロンに勧める。

 すぐに茶菓子と飲み物を用意したケイシーは「では、わたくしは外します」と言ってドアの方へと向かう。ドアが閉まり際に目が合うと、意味ありげに微笑まれた。

(ケイシーが期待しているようなことは何もないけど)

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