ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 シャルロットは肩を竦める。
 仕えている主と国王陛下が仲睦まじいことは、侍女にとっても誇らしいことなのだろう。

 エディロンは確かに毎日会いに来る。
 しかし、男女の睦み事は一切なく、代わりに全く違うこと──例えば諸外国との関係や施策についての意見を求められたりする。

 シャルロットは心の中でケイシーに謝罪しつつも、今日はどんな話をするのだろうと毎日のその時間を楽しみにしていた。

「以前あなたが話していた奨学金制度について、今度ラフィエ国に話を聞けることになった。教育制度全般について、情報交換する予定だ」
「それはよかったです」
「それと、我が国の優れた金属加工技術を是非学ばせてほしいと申し入れがあった。おそらく、技術研修生を受け入れることになると思う。以前あなたが提案した技術ライセンス形式を考えている」
「そうですか。ダナース国の金属加工品生産量と鉱山の数は周辺国で随一ですものね」

 シャルロットは頷く。

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