ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「ふふふっ。あははっ。陛下、そんなことを思っていらしたのですか? エリス国が偽物の王女を嫁がせたと」
「てっきり、そう思っていた。だから、偽物の自分では結婚できないと悩んでいるのかと」
「偽物だと思ったのに、結婚しようと?」
「そのつもりだった。あなたには王妃になる資質があると思ったし、何よりも俺が愛している」
「……っ!」

 まただ。エディロンに愛していると告げられる度に、あれほど頑丈に鍵を掛けたて葬り去ったはずの感情が動き出す。

「……いいえ、違います。わたくしは間違いなくシャルロット=オードランで、エリス国第一王女です」

 シャルロットはきっぱりとエディロンの想像を否定する。

「では、なぜだ?」

 エディロンは困惑しつつもシャルロットの見つめる。

「それは……」

 口ごもるシャルロットは、エディロンの肩越しに見えるサイドボードの上に置かれたジョセフからの手紙に気付いた。
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