ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「陛下。これからわたくしがお伝えする秘密は、とても不思議なお話です。それでも信じてくださいますか?」
「もちろんだ」
エディロンは真剣な表情で頷く。その表情を見て、シャルロットは表情を綻ばせた。
「始まりはもうずっとずっと昔のことになります。わたくしはエリス国主催の、大規模なパーティーでひとりの男性と出会いました──」
シャルロットの長い語りに、エディロンはじっと耳を傾けた。
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途中で淹れた熱い紅茶は、いつの間にかすっかりと冷え切っていた。エディロンはその冷えた紅茶を気にする様子もなく飲み干すと、額に手を当てる。
「つまり、あなたは今の人生が六回目であり、結婚するとその日に死ぬと?」
「はい。そうです」
シャルロットは頷く。
エディロンは眉間に深い皺を寄せたまま、一点を見つめている。といっても視線の先に何かがあるようには見えないので、ただ単にこの突拍子もない話に驚き考え込んでいるだけだろう。