天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 どこに行ったのかとか、どんな魔物を退治したのか、野営はどうだったのか。そういった話を聞きたかったのに、昨日カークはまったく話してくれなかった。

 ディートハルトとふたりで話さないと不公平になるというのがカークの言い分である。カークもカークなりに気を使っているのである。

 仕事部屋の一角、ミリエラ用のスペースの床に、三人揃って座り込む。ミリエラの前に、ふたりは革袋の中身を山積みにした。

「スライムの魔石がこんなにたくさん? あれ、でもこれ普通のスライムじゃないね」

 魔石を扱うようになって一年近く。よく扱う素材ならば、魔石を見ただけでミリエラもわかるようになってきた。

 床の上に山積みになっているスライムの魔石は、ミリエラが普段見ているスライムの魔石とはだいぶ違う気がする。

「そのスライムは、鉱山の中に住んでいるんだ。上から落ちてくる水分と周辺の岩に含まれる鉄を食べているんだって」

 ぷよぷよとしているスライムに口はないのだが、身体全体を使って食べ物を吸収する。水辺にいることが多いのだけれど、どこにでも生息する魔物でもある。

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