天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「エリアス、久しぶり! 会いたかったよ」
「エリアス、見ろ見ろ! これ、ディーの護衛と、父上が倒したんだぞ」

 敷物の上に長々と手足を伸ばして横たわったエリアスは、カークの差し出した魔石を見て目を細めた。

「ほぅほぅ、ロックボアを倒しただと? それは、すごいぞ」
「本当に? エリアスもそう思うか?」
「そうだとも。我のような精霊王ならともかく、人間がロックボアを倒すというのはなかなか難儀であろう。オーランドはすごい騎士だと思うぞ」
「僕の護衛もすごいんだよ!」
「もちろん、そうであろう。王子を守るというのは、大変な任務だからな」

 カークとディートハルトは遠慮なくエリアスの見事な毛並みをもしゃもしゃとかき回している。ミリエラはいつでも堪能できるので、今日のところはふたりに譲ることにした。

 それにしても、しっかりふたりの護衛のことまで誉めるなんて、エリアスもなかなか気配りの人──猫──精霊である。

 パタパタと床を叩いている尾をディートハルトが撫で、カークはブラシを手に首筋の毛をせっせと整え始める。

(……ちょっと、保育士さんみたいかも)

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