天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 エリアスはこう見えてなかなか気のいい奴で、子供の相手も得意だ。

「む、ブラッシングはニコラの方が上手だな」
「母上の腕に追いつくように頑張る!」
「ふたりとも、頑張ったよねえ。今度はいつ行くの?」

 ふたりが頑張ったのは本当のことだから、ミリエラも言葉を惜しまない。

 けれど、ミリエラの言葉に、カークもディートハルトもうぅんと唸ってしまった。

「行くのはいいんだけどなー」

 カークは腕を組んで天井を見上げてしまい、ディートハルトは尾を撫でていた手をとめる。ふたりとも魔物退治は頑張るつもりはあるらしいのに、どうして渋い顔をするのあろうか。

「テントが寝苦しくて困ったよね」
「そうそう。下がごろごろするしな。あと、思ってたより暑かった」

 あぁ──とミリエラは納得した。

 この時期、夜になると場所によっては寝苦しいだろう。特に、この世界で使われているテントは、中に熱がこもりやすいのだと聞いている。

 それに、いくら下のごろごろした小石をどけたところで、小さな凸凹はどうしても生じる。寝苦しいのは仕方ないところだ。

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