天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
「カーク、お前甘いぞ。テントで寝ると言うのは、そういうことだ」
「だけどさ」

 エリアスにあきれたような視線を向けられ、カークは唇を尖らせる。

「お主とディートハルトは、敷物の上で寝たのだから、地面の堅さは軽減されているのでは?」

 ベッドのような寝心地とまではいかないにしても、テントの中に敷物を敷き、その上で子供達は休んだ。朝までぐっすりと──である。

 大人達は、襲撃があった時に備え、交代で見張りをしながら休んだそうだ。テントを張らず、地面にごろ寝をしたのだとか。

 エリアスの説明を聞き、なんでエリアスがそんなことを知っているのだと思ったが、彼は風の精霊王だ。彼の眷属は、どこにだって存在する。

「それにな、大人達は眠っている時でも緊張感を持っていないといけないらしいぞ。以前、冒険者がそんなことを言っているのを我は聞いたことがある」
「そっかぁ……せめて、寝苦しくないテントがあればいいのにね」

 魔物退治に同行していなかったから、ミリエラは皆の話を聞いているだけだった。

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