天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 仲間外れにされたという思いもなかった。ただ、便利な道具があればいいのにな──という思いが口から漏れただけである。

「うーん、でもテントってけっこう重いってヴィルギルが言ってたよ」
「父上も言ってた。長期の遠征の時は荷馬車も同行するからテントも運びやすいんだって」

 今回、テントは子供達の分しか持って行かなかったのは、一泊だからということと、テントを張る暇もなかった時の訓練のためなのだそうだ。

「でもさあ、スライムの魔石は今まで使われていなかったでしょ。上手に使ったら、軽くて寝心地のいいテント作れないかな」

 ミリエラの言葉に、ふたりともハッとした表情になった。

 スライムの魔石は、長い間使い物にならないと思われていた。

 新しい使い道が発見されたのは去年のこと。壊れやすいスライムの魔石に注ぐマナの量を見極め、冷たさを保つ布を作り出すという活用方法を見つけ出したのはミリエラだ。

「テントの内側に保冷布を張ったらどうかしら。かさばっちゃうかな──あ、それとも、テントの素材を保冷布にしちゃえばいいのかな」

 テントは、布に防水機能を持たせたものである。

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