天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

　そこにスライムの魔石から作った冷たさを保つ機能を加えたら夏でも涼しく過ごすことのできるテントを作れるのではないだろうか。

（……新しい発明品ってわけじゃないけど）

　やり方は、いろいろあるような気がする。

　うーんと考え込んでいると、ディートハルトは大喜びで手を打ち合わせた。

「もし、そんなテントが出来たら皆大喜びだよ、ミリィ！　夏の暑さは、基本的にはどうにもならないからね」

　ディートハルトが言うには、ものすごく有能な魔術師が同行していれば話は別なのだそうだ。

　呪文を行使して様々な効果を発揮することに長けている人のことを魔術師と呼ぶ。ミリエラや父とは違うマナの使い方だ。ミリエラも一度だけ会ったことがあるが、ミリエラを誘拐した人なので、彼については思い出したくもない。

（そっか、そういう人が同行しているなら涼しく過ごせるかも。でも、それって贅沢(ぜいたく)だし、普通はいないよね、そんな人）

　いわゆる魔法陣のようなものを書き、特定の区画だけいくぶん温度を下げたり、そよそよと風を吹かせたりすることも可能らしい。