明日には居ない君の物語

寿命

気づけば私は病院に居た。

時計を見ると午後9時______。

ガラッ

「涼香っ!」

あ、要…

そっか、私、要と冬菜の前で倒れたんだ…

「要」

「ん?」

「要、好き、大好き」

心配をかけたくなくてふふふっと笑いながら言う

「え…は…え…?」

そんな私の前で要は口を金魚みたいにパクパクさせている。

「涼香、お前それ…あぁ、はぁぁぁ…まじ可愛い…死ぬ…」

「え…?」

「だぁかぁらぁ、やっと起きたと思ったらなんでそんな可愛いこと言うんだよ…!俺を殺す気か?ほんと、可愛い。キスしたい。抱きつきてぇ。まじ可愛い」

んぇっ…?

き、キス…?

「ちょっとちょっと要くん!涼香ちゃんが困ってるでしょ〜?その辺にしてあげなさい」

「げっ、楓さん…」

「げっ、ってなによ」

「別に?」

いつのまにか病室に入って来ていた楓さん。

血液内科の筈なのになんでいるんだろう、この人…。

まぁ、助かったけど。
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