最愛の日々にピリオドを、
19歳だった。
新しい生活に馴染めるかすごく不安だった。夕雅に出会うきっかけになったあの授業だって、仲良い子がいないから行く気になれなくて単位を半分くらい諦めてたし、もとから率先して人に話しかけるようなタイプでもないから、友達一人作るのにも苦労した。
だけど、夕雅のおかげで思っていた100倍楽しいと思った。
毎日学校嫌だな、って思っても、アイツがいるなら行こうかな、ってなるくらいだった。
完全に友達だと思われていたけれど、わたしはそんな簡単に割り切れなかった。他の人には緊張しない距離に夕雅がいると、変に心臓に悪くて、それを誤魔化すように棘のある反抗ばっかりして、中学生みたいな小競り合いになることだって多かった。
視界がだんだんと滲んでいく。
懐かしいと一言で片づけるには多すぎる思い出と、それをただ懐かしむように話す夕雅のせいだ。楽しくて仕方なかったあの日々を、思い出すだけで泣きたくなるなんて思い出も記憶も厄介だ。それでも、絶対に失いたくはない。
「初めてみんなで居酒屋行ったの覚えてる?」
「覚えてるよ、だってマジで見たことないくらい呉羽がおもろかったもん」
「そう言う記憶は消していいんですけど」
「いや、絶対忘れねえ。つうかアルコール入った途端距離感バグって誰にでもべたべたするようになるから、こいつまじかよって思ってた」
「なにそれ、あんただって調子乗って私の友達にちょっかいかけてたじゃない」
「お前が俺の友達に絡まれてるからうぜ―って思って反抗してた」
「はあ?こどもなの?」
「つうかあれはちょっかいかけてたんじゃなくてお前の友達に『呉羽取られちゃうけどいいの~?好きなんでしょ?』とか煽られてただけだし」
「なにそれ、知らないんだけど」
「あの時点で俺の好意はお前以外には駄々洩れだったんだよ」
「なんでじゃあもっと早く言わないのよ、手だけ先に繋いどいて」
「そっちが完全に俺のことなんて眼中になかったからだろ」
「残念ながら友達と思ったことなんて一回もなかったわ」
「奇遇だな、俺も」