孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
そして。
「脳腫瘍と……未破裂脳動脈瘤ですね」
頭部CTの前脳部に明らかな所見を認めて、眉間に皺を寄せる。
一色先生が、「ああ」と相槌を打った。
「現状、患者に自覚症状はない。ノンスモーカーで、飲酒は週二日、缶ビール一本程度。高血圧症で、十五年前から降圧剤を服用している。くも膜下出血の家族歴はないが、オペを一回で済ませられないかと相談を受けてね」
「一度の開頭で同時に……動脈瘤の処置と、腫瘍摘出ですか」
僕は顎を撫でて理解を示しながら呟いた。
「動脈瘤の方は、前交通動脈に最大径三ミリ。場所、大きさ、形的に診ても、破裂の危険性は中の中。統計学的にも、破裂の確率は一年に一パーセントといったところですね」
そう言いながら背を起こすと、彼の視線が僕を追って上向く。
脳動脈瘤は、破裂の危険性が低い場合、無理に治療せずに経過観察を行うことが多い。
今回の心筋梗塞と同様、高血圧や動脈硬化が原因と言われていて、脳動脈瘤破裂の危険にも冒されているという見方は、確かに正しいかもしれない。
しかし――。
「腫瘍も同じ前脳だし不可能ではありませんが、かなり長時間のオペになる。術者二人が同時にオペするとなると、手技により、言語中枢が冒される危険性を否定できない。動脈瘤は、経過観察を勧めた方が」
「脳腫瘍と……未破裂脳動脈瘤ですね」
頭部CTの前脳部に明らかな所見を認めて、眉間に皺を寄せる。
一色先生が、「ああ」と相槌を打った。
「現状、患者に自覚症状はない。ノンスモーカーで、飲酒は週二日、缶ビール一本程度。高血圧症で、十五年前から降圧剤を服用している。くも膜下出血の家族歴はないが、オペを一回で済ませられないかと相談を受けてね」
「一度の開頭で同時に……動脈瘤の処置と、腫瘍摘出ですか」
僕は顎を撫でて理解を示しながら呟いた。
「動脈瘤の方は、前交通動脈に最大径三ミリ。場所、大きさ、形的に診ても、破裂の危険性は中の中。統計学的にも、破裂の確率は一年に一パーセントといったところですね」
そう言いながら背を起こすと、彼の視線が僕を追って上向く。
脳動脈瘤は、破裂の危険性が低い場合、無理に治療せずに経過観察を行うことが多い。
今回の心筋梗塞と同様、高血圧や動脈硬化が原因と言われていて、脳動脈瘤破裂の危険にも冒されているという見方は、確かに正しいかもしれない。
しかし――。
「腫瘍も同じ前脳だし不可能ではありませんが、かなり長時間のオペになる。術者二人が同時にオペするとなると、手技により、言語中枢が冒される危険性を否定できない。動脈瘤は、経過観察を勧めた方が」