孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
オペに入る前に目を通せばわかる。
勝手に納得しかけた私に。


「もしかして……やっぱり、僕が誰だかわかってなかった?」

「は……?」


第一助手がムッと口元を歪ませ、おもむろに眼鏡を外した。
目元にかかっていた前髪をザッと掻き上げ、私に睨めつけるような視線を向ける。


一瞬前までむさ苦しいクマだった彼が、とんでもないイケメンに早変わりする様に、私の心臓がドッドッと早鐘のように打ち出す。
こんなイケメン、今までに見たことがない。
だけど、彼の口調からすると、私はこの人を知ってる……ということ?


「え? ……え?」


忙しなく瞳を動かす私に、質問の答えを悟ったのか、第一助手は肩を落として深い溜め息をついた。


「僕は、中学三年の時、君のクラスメイトだった。名前は霧生」

「キリュウ……」

「……ガリ勉キモデブと言えば、わかる?」

「ガリ……あっ!!」


彼の助け船に乗って、一気に記憶が繋がった。


「霧生……颯汰君!?」


思わず素っ頓狂な声を出す私に、彼が不愉快そうに顔をしかめる。


「名前じゃなく、ガリ勉キモデブで思い出されるとは、屈辱だな」

「っ、だ、だって!」
< 35 / 211 >

この作品をシェア

pagetop