孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
確かに中学三年生の時、そういう名のクラスメイトがいた。
成績は全国でもトップクラスの秀才で、休み時間も自席から動かず勉強ばかり。
背が低く、ちょっと……いや、だいぶ太めな体型で、クラスでも中心的存在の女子グループから『ガリ勉キモデブ』と酷いあだ名でからかわれ、虐められていた。


『霧生』というと結構珍しい名字だけど、すぐに記憶が結びつかなかったのは、今隣にいる男性には、面影すら見当たらないせい。
そもそも、あの頃の霧生君も、大きな眼鏡をかけていて髪はボサボサだったから、私は彼がどんな顔立ちだったか知らない。


「ほ……ほんとにあの霧生君? どう見ても別人なんだけど……」


私が呆然と零した心の声に、彼はまだ苦い顔で「ああ」と頷いた。


「僕は中学卒業後、父親の仕事の都合でパリに行ってね。言葉の壁と海外暮らしのストレスで痩せたんだ。さらに、遅れてきた成長期で、高校時代に背が伸びた。それ以外は、なにも変わってない」


簡単に言うけど、身長が伸びれば骨格も変わる。
中学の頃はまん丸のムーンフェイスだったけど、この男性は頬骨が張り、顎もほっそりしていて男っぽく、横幅に至っては中学時代の半分だ。
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