孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
「僕がなに?」

「え?」

「今、呼ばなかった?」

「……ああ」


独り言を拾われたとわかり、私はなんとなく床に正座した。


「こんな楽しいクリスマス、久しぶり」


霧生君ははにかむ私に首を傾げ、グラスを口元に運ぶ。


「霧生君とこうしてお酒飲んで話してると、あっという間に時間が過ぎるなあって。楽しいからかな」


そう続ける私から目を伏せ、ふっと口角に笑みを浮かべた。


「それは、よかった」


そう言って、残っていたワインをグッと呷り――。


「茅萱さん。これ」


グラスをテーブルに戻し、スラックスのポケットからなにか取り出して、私の前に差し出す。


「……ん?」


ワインの酔いで、私の目の焦点は合わない。
霧生君が私の手を取り、小さな箱をのせた。
手の平に目を凝らす私に、


「クリスマスプレゼント」


短い説明をしてくれる。


「……えっ!?」


たっぷり一拍分間を開けて、私は素っ頓狂な声を出した。
霧生君は、一瞬きょとんとした顔をしたけれど。


「そんな、驚く?」


くっくっと笑って、肩を揺らす。


「だって。私、なにも用意してなくて」

「ケーキ。ご馳走様」

「そんな」

「いいから。気に入ってくれると嬉しいんだけど」
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