孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
うちの病院の年間休日は、第二土曜日、日曜祝日、年末年始、九月の東都大学創立記念日で、外来は休診になる。
とは言え、二十を越える診療科を有する、東京都の第三次救急指定病院だ。
病棟は千床近いベッドを抱えていて、当然ながら、医療スタッフが皆カレンダー通りに休めるわけではない。


その点、私たち手術室看護師の勤務スケジュールは、医師や病棟スタッフと比べるとかなり規則的だ。
手術の予定はすべて平日に組まれるから、基本的に平日週五日勤務。
休日の緊急手術は、救命救急センターで行っている。


そういうわけで、年内の最終外来診療日が終われば、手術部は五日間年末年始休暇だ。
でもこの八年間、私は年末年始休暇を満喫できた試しがない。
休暇中は、オンコール対応がある。
年末年始は不思議と救急搬送が多いので、救急で手が足りない時のために、手術部でヘルプ体制を敷くのだ。


結婚して子供がいたり、地方の実家に帰省するスタッフなどは免除され、寮で暮らす私や操、他の若手たちが、ローテーションでオンコールシフトに入る。
去年私は、大晦日と一月三日に当たり、両日とも夜中に出動した。


――思い返せば、その大晦日に剛から付き合ってくださいと言われて、交際を始めた。
三日のオンコール明けで操と初詣に行った時、真剣に結婚祈願したっけ……。
< 75 / 211 >

この作品をシェア

pagetop