孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
温かかった料理は冷め、ラップに水滴がついてしまった。
スマホのデジタル時計が『22:00』を表示するのを見て、私は肩を落とした。
鼻の奥の方がツンとする。
「もういい。離婚届、置いて行こう。約束したのに……霧生君のバカ」
声に出して詰ってないと、涙が出てきそうだった。
「書いたら、自分で出しに行けって言ってやるんだから」
ぶちぶちと文句を言いながら、私の部分は記入してある離婚届と荷物を取りに自室に戻る。
リビングダイニングに出てきて、封筒に入れた離婚届を、テーブルの霧生君が座る位置に置いた。
茶一色の料理とオーク色のテーブルに、白い封筒がやけに映える。
突っ立ったままそれに目を落とすと、一抹の寂しさが胸をよぎる。
私は無言で俯き、かぶりを振ってテーブルから離れた。
唯一の音源だったテレビを消すと、だだっ広いリビングは一瞬にして静まり返る。
堪らない物悲しさに一度ズッと洟を啜り、コートに袖を通した。
荷物を手に、意識してゆっくりと、リビングのドア口に向かうと……。
「茅萱さんっ……!!」
「え」
いきなりドアが開いて、私はギョッとして足を止めた。
珍しくニット帽を被った霧生君が、勢いよく飛び込んできた。
その場で大きく身体を折って、全身で呼吸している。
随分と長く走ってきた様子だ。
スマホのデジタル時計が『22:00』を表示するのを見て、私は肩を落とした。
鼻の奥の方がツンとする。
「もういい。離婚届、置いて行こう。約束したのに……霧生君のバカ」
声に出して詰ってないと、涙が出てきそうだった。
「書いたら、自分で出しに行けって言ってやるんだから」
ぶちぶちと文句を言いながら、私の部分は記入してある離婚届と荷物を取りに自室に戻る。
リビングダイニングに出てきて、封筒に入れた離婚届を、テーブルの霧生君が座る位置に置いた。
茶一色の料理とオーク色のテーブルに、白い封筒がやけに映える。
突っ立ったままそれに目を落とすと、一抹の寂しさが胸をよぎる。
私は無言で俯き、かぶりを振ってテーブルから離れた。
唯一の音源だったテレビを消すと、だだっ広いリビングは一瞬にして静まり返る。
堪らない物悲しさに一度ズッと洟を啜り、コートに袖を通した。
荷物を手に、意識してゆっくりと、リビングのドア口に向かうと……。
「茅萱さんっ……!!」
「え」
いきなりドアが開いて、私はギョッとして足を止めた。
珍しくニット帽を被った霧生君が、勢いよく飛び込んできた。
その場で大きく身体を折って、全身で呼吸している。
随分と長く走ってきた様子だ。