孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす～契約離婚するはずが、容赦なく愛されました～

――学校とは、勉学の場だろうが。
休み時間の度に、臍で茶が沸きそうな愚問を吐きながら、飽きもせずに僕の席を取り囲む。


『男子は、グラウンドでサッカーやってるよー？　あんたも男なら混ぜてもらったら？』

『バカ、霧生が走ったりしたら、うちの学校に直下型地震起きるじゃん。けしかけるなって』


三年になってもなかなか身長が伸びず、横に広がりきった体型を『ブタ』と言われ、災害扱いされた。
そもそも地震とは、地球の深部でプレートにひずみが生じてずれ動くことで発生する自然現象だ。
僕が地上で走ったくらいじゃ、地響きはしても地震にはならない。


『そんなんじゃ一生結婚できないよ？　一人寂しく人生終えていいの？』

『うっそ、それって、初体験できないまま死んじゃうの？　カワイソー』

『同情するなら、あんたが初体験の相手してあげたら？』

『やめてよ、キモッ』


方程式一つまともに解けず、メンデルの法則だってろくに理解してないくせに、保健体育にはやたらとアンテナを巡らせていて、下品に揶揄してきた。
別に、僕が一人寂しく人生の終末を迎えようが、未経験のまま命が尽きようが、他の誰の迷惑にもならないんだから、いいじゃないか。
まともに取り合う気になれず、ひたすら無視してやり過ごす日々の中――。