孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
女子グループだけじゃなく、彼女のこともまとめて無視して、その度にいちいちよくわからない部分がチクリと痛む自分から目を背け――中学を卒業して、それきりだ。
その後、僕はパリに移った。
中学の時のように、惨めで屈辱的な思いをするのは懲り懲りだ。
そうして、自分の生活から徹底して女を排除した。
ジェンダーレス、ニューノーマルが叫ばれる時代、大きな声で言えることではないが、大人になった今、仕事でも可能な限り女との接触を避けてきた。
そのおかげで、順調に成功を積み重ねて来れた。
この先一生このままでも支障はない。
僕にとって、女は忌むべき対象物であって、色や夢を与えてくれる産物ではないのだから。
しかし、なんの因果か――。
脳外科医局教授から熱心なオファーを受け、十五年ぶりに日本に戻ってきた僕は、新天地となる東都大学医学部附属病院で、茅萱さんと再会してしまった。
わざわざ振り返るまでもなく、茅萱さんは僕の初恋だった。
いや、初恋どころじゃない。
僕にとって恐らく、人生最初で最後の恋だ。
僕は一目でわかったのに、彼女の方は全然僕に気付かない。
僕を、僕の告白を記憶の片隅にも残していない彼女が憎らしく、悔しかった。
契約結婚などと言い出したのは、惨めな彼女を助ける側に回って優越感に浸るのと、無残な初恋を浄化するという思惑からだ。
その後、僕はパリに移った。
中学の時のように、惨めで屈辱的な思いをするのは懲り懲りだ。
そうして、自分の生活から徹底して女を排除した。
ジェンダーレス、ニューノーマルが叫ばれる時代、大きな声で言えることではないが、大人になった今、仕事でも可能な限り女との接触を避けてきた。
そのおかげで、順調に成功を積み重ねて来れた。
この先一生このままでも支障はない。
僕にとって、女は忌むべき対象物であって、色や夢を与えてくれる産物ではないのだから。
しかし、なんの因果か――。
脳外科医局教授から熱心なオファーを受け、十五年ぶりに日本に戻ってきた僕は、新天地となる東都大学医学部附属病院で、茅萱さんと再会してしまった。
わざわざ振り返るまでもなく、茅萱さんは僕の初恋だった。
いや、初恋どころじゃない。
僕にとって恐らく、人生最初で最後の恋だ。
僕は一目でわかったのに、彼女の方は全然僕に気付かない。
僕を、僕の告白を記憶の片隅にも残していない彼女が憎らしく、悔しかった。
契約結婚などと言い出したのは、惨めな彼女を助ける側に回って優越感に浸るのと、無残な初恋を浄化するという思惑からだ。