因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「も、もしかして光圀さんのご先祖様の幽霊?」
ここは由緒ある書物も保存されている古い蔵だもの。幽霊が出てもおかしくない。
前に光圀さんが【幽霊が出るかもしれないぞ】とメッセージで言っていたけれど、あれって冗談じゃなかったの?
「いえ、そういうオカルト的な話ではなく、あなたの物言いがまるで先生のようだったので」
「ということは、先代が私に乗り移ったってことですか? どうしましょう、思考まで乗っ取られてしまったら……!」
「伊織さん、この人本当に馬鹿なのかも」
「太助……言いたいことはわかるが口を慎め」
ひとりで慌てる私をよそに、ふたりは薄く笑っている。
もしかして、私にだけ見えない幽霊が彼らには見えているんじゃ?
ますますパニックになっていると、静かな蔵に突然スマホの着信音が鳴り響いた。
「……すみません」
そう言って作務衣のポケットを探ったのは太助くんだった。
画面を見た瞬間、険しく眉根を寄せる。
誰からの電話なんだろう?