因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
七夕の夜に、香りを聞いて

 新しい年を迎えた、一月一日。

 朝から昼にかけて醍醐家一同でゆっくりおせち料理を楽しんだ後、私と光圀さんは、約束通りふたりで初詣に出かけた。

 着物にコートを羽織り、クリスマスにプレゼントしてもらった椿柄の草履とバッグを合わせると、着物に羽織、袴を合わせた光圀さんの隣を堂々と歩ける和の装いになった。

 醍醐家の運転手に車で送ってもらい、訪れたのは結婚式を行った寺社。

 元日とあって、山門を通ると境内はたくさんの人でごった返していた。

「やっぱり混んでますね」
「仏様は逃げない。急がず歩けばいい」
「そうですね」

 私たちは寄り添い、指を絡めてギュッと握り合っている。四日前に初めて夫婦で結ばれてから、光圀さんはすっかり甘い旦那様に豹変してしまったのだ。

 あの夜以降、ただ眠るだけだった日は一日もないし、口づけの回数は数えきれない。

 昨夜自宅で年越しをした後も、思う存分愛しあった。

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