君しかいない
 潤んだ黒目がちの瞳の中にわたしが居て、これだけ素直に伝えているのに顔にも態度にも出ているはずなのに。成瀬にはわたしの気まぐれ位にしか思われていないし、これ以上どうやったら信じてくれるのだろうとボンヤリ成瀬をみつめていたら。
 成瀬の右手が頬に触れ、親指がわたしの下唇を撫でた。

「成……んっ」

 体重がかけられ、ゆっくりと近づく成瀬の唇がわたしの唇を塞ぎ。以前わたしからキスした時よりも、もっともっと深いキスがわたしを包む。
 絡まる舌も息遣いも、好きだと思う感情しか生まれなくて。やっぱり成瀬がいい、成瀬じゃなければ嫌だとハッキリ確信を持つばかり。

「成瀬、好き。ホントに好……」

 角度を何度か変えながらキスを繰り返され、その度に一瞬離れた唇から成瀬への気持ちを告げる。

「真ひ……」

 ハラリと破けた洋服から素肌が露となり、その姿が目に留まったのだろうか。
成瀬は我に返ったようにわたしから身体を離した。
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