君しかいない
「……真尋様、辻道様がお目にかかりたいそうです。お部屋にお通ししてもよろしいでしょうか」
「翔斗、さん?」
突っ伏していたベッドから起き上がると、既に部屋のドアは開けられ入口に翔斗さんと向井が立っていた。
「やあ。電話しても出ないし、メッセージを送っても既読がつかないからさ。会いに来たよ」
一歩ずつ近づいてくる翔斗さんの背中を見ながらドアを閉めようとしている向井に気付き、慌てて声をかける。
「向井、ドアは開けておいて」
「え? あぁ、はい」
翔斗さんはクスッと笑い、ベットの隅に腰掛けた。
「また襲われると警戒してる?」
「別にそういうわけでは……」
「話は聞いた、今回は大変な目にあったね。でもまぁ、君のせいじゃないし気にすることはないよ」
私の身に何も無くてよかった、と翔斗さんに言われたけれど。よくない、わたしの代わりに成瀬が……。
「翔斗さん、わたしあなたとは結婚できません。お話はなかったことにしてください」
「は? 何を言ってるの? 俺たちの結婚と執事が怪我したことは関係無い話だろ」
それに、執事が主人の為に身を呈し守ることは当然の職務だ。使えなくなったのなら代わりの人材を補充すればいいと言い切る翔斗さんに引いてしまった。
わたしにとっては、そういう問題では無い。成瀬の代わりになど誰にもなれない。
「わたし、好きな人がいるんです。その人じゃなきゃダメなんです。だから……ごめんなさい」
「翔斗、さん?」
突っ伏していたベッドから起き上がると、既に部屋のドアは開けられ入口に翔斗さんと向井が立っていた。
「やあ。電話しても出ないし、メッセージを送っても既読がつかないからさ。会いに来たよ」
一歩ずつ近づいてくる翔斗さんの背中を見ながらドアを閉めようとしている向井に気付き、慌てて声をかける。
「向井、ドアは開けておいて」
「え? あぁ、はい」
翔斗さんはクスッと笑い、ベットの隅に腰掛けた。
「また襲われると警戒してる?」
「別にそういうわけでは……」
「話は聞いた、今回は大変な目にあったね。でもまぁ、君のせいじゃないし気にすることはないよ」
私の身に何も無くてよかった、と翔斗さんに言われたけれど。よくない、わたしの代わりに成瀬が……。
「翔斗さん、わたしあなたとは結婚できません。お話はなかったことにしてください」
「は? 何を言ってるの? 俺たちの結婚と執事が怪我したことは関係無い話だろ」
それに、執事が主人の為に身を呈し守ることは当然の職務だ。使えなくなったのなら代わりの人材を補充すればいいと言い切る翔斗さんに引いてしまった。
わたしにとっては、そういう問題では無い。成瀬の代わりになど誰にもなれない。
「わたし、好きな人がいるんです。その人じゃなきゃダメなんです。だから……ごめんなさい」