君しかいない
カーテンで仕切られただけの簡易的な間仕切りの間を進む。成瀬のベッドは一番奥の窓際。
「成、瀬。あの……」
カーテンに手をかけ隙間から顔を覗かせると、ベッドの上には久しぶりに見る成瀬の姿に。会いたかった成瀬の顔を見た途端、想いが溢れた。
「真ひ……」
「この方が東堂真尋さん?」
ピタリと脚が止まる。成瀬のベット脇には、綺麗な女性が付き添っていたのだ。
立ち尽くすわたしの前にスッと立った女性に「こんにちは」と笑顔を向けられた。
「は……じめまし、て。東堂……です」
この女性は誰? 成瀬の何なの? ずっと傍で看病していたの? と頭の中でグルグル回る疑問は、成瀬にも女性にもぶつけることができなくて。
「真尋様おひとりですか? どなたかとご一緒では無いのですか?」
なのに、久しぶりに聞く成瀬の声が優しくわたしを包むから、鼻の奥がツンとしてわけも無く泣きたくなる。
話したいことが沢山あるはずなのに、上手く声が出せない。
「成瀬の代わりなんか、いな……」
口を噤んだまま後退りし、病室から逃げ出した。
「成、瀬。あの……」
カーテンに手をかけ隙間から顔を覗かせると、ベッドの上には久しぶりに見る成瀬の姿に。会いたかった成瀬の顔を見た途端、想いが溢れた。
「真ひ……」
「この方が東堂真尋さん?」
ピタリと脚が止まる。成瀬のベット脇には、綺麗な女性が付き添っていたのだ。
立ち尽くすわたしの前にスッと立った女性に「こんにちは」と笑顔を向けられた。
「は……じめまし、て。東堂……です」
この女性は誰? 成瀬の何なの? ずっと傍で看病していたの? と頭の中でグルグル回る疑問は、成瀬にも女性にもぶつけることができなくて。
「真尋様おひとりですか? どなたかとご一緒では無いのですか?」
なのに、久しぶりに聞く成瀬の声が優しくわたしを包むから、鼻の奥がツンとしてわけも無く泣きたくなる。
話したいことが沢山あるはずなのに、上手く声が出せない。
「成瀬の代わりなんか、いな……」
口を噤んだまま後退りし、病室から逃げ出した。