婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 改めて聞かれるとなんとも面映ゆくなってしまって、顔が一気に赤くなったわ。ちょっと、熱で汗も出てきたよう。私は扇子で顔を扇ぎました。涼しい風が火照った顔を静めてくれます。

 今日は放課後に課題を仕上げにサロンに寄っただけなのに、どうしてこんなことになっているのでしょう。

 プロポーズの話に発展するなんて思ってもいなかったわ。

「ということは、二人は両想いってことよね。何の問題はないはずなのに、それなのに、恋が成就していないのは何故? フローラはどうしてプロポーズを断ったの?」

「……」

 グサッと矢が心臓に刺さったような痛みを覚えました。

 胸中を抉っていく思い出したくもない暴言の数々。

 一筋の涙が頬を伝いました。

 我慢していたのかもしれません。
 誰にも言えず相談もできなかった苦悩が溢れ出てしまったのでしょう。

 
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