婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
赦されたと思い表情が緩んだビビアン様の顔が驚愕に染まる。
「どうしたの? あなたの願いを叶えてあげたのよ。もっと嬉しそうな顔をしなさいな」
「えっ? あの、二十年後とは、どういうこと、なのでしょうか?」
信じられないような不可解な顔でビビアン様が尋ねる。
「どうしたもこうしたもそのままの意味よ。あなたが男爵令嬢になるのは二十年後。それまでは公爵令嬢の肩書はそのままにしておいてあげるわ」
「どうして……」
男爵令嬢への降格くらいで罪が赦されるなんてそんなことあるわけない。罪も認めず反省もせず、娼館行きを示唆すると慌てて謝罪するなんて恥ずべき行為よ。
「だから言ったでしょう。あなたに実体験させてあげると。まずは娼館に行って娼婦として働いてごらんなさい。あなたの嘘が引き出した現実を身をもって体験なさいな。そうすれば自分の罪深さが分かるというもの。立派に娼婦として勤めあげたら、二十年後は男爵令嬢になれるわ」
二十年後は四十近く。令嬢と呼べるのか甚だ疑問だけれど、男爵家の娘には違いないわね。