婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「あ、あっ……イヤ。お願いです。それだけはどうか勘弁してくださいませ。どうか、どうか、お願い致します」
またもや床に頭を擦り付けて懇願するビビアン様。往生際の悪いこと。公爵一家は判決を即座に受け入れたというのに。
「あなたの願いもしっかりと聞き入れたのに、何が不満なのかしらねぇ。顔を上げてちょうだい」
動じることなく淡々と告げるアンジェラは駄々をこねるビビアン様を冷たく見つめるだけ。
言われるままにおずおずと顔を上げたビビアン様は顔色をなくし、頬には涙が流れた跡があった。
「二週間後、娼館から迎えがくるわ。その時に値段の交渉も行われる。こちらは相場の五倍の値を提示しているの。それに見合った金額かどうか、身体も含めて念入りに調べられるわ。あなたは公爵令嬢だし、その美貌と魅力的な身体とおまけに教養もあるから、もっと値が吊り上がるかもしれないわね。楽しみだわ」
ふふっと笑っていない目で笑うアンジェラ。そこには慈悲の欠片もない。