★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~
「……大丈夫?」

「……残念ながらこの木々に今すぐダイブしたい気分ですが、そんな勇気ないので気になさらず美しい夜景を堪能なさって下さい」

 歳上好みで久々に胸キュンの私は、テンパりついバカな本音を漏らした。

 そんな私に更に心配そうな眼差しを向け、また泣きそうになった私は、頭を下げ逃げるように東方に移動した。

 ……声も抜群に好み。

 品があり良く通る素敵な声の持ち主。存在感抜群で絶対モテるだろう。

 ……挙式前夜に人生史上最高のイケメンとの出逢いなんて、神様の意地悪!

 あからさまに溜息をつくと、また絶え間なく涙が零れ落ちてきた。必死に唇噛みしめ声を押し殺すが、どうしようもなく悲しみ溢れて止まらない。母子家庭だった私の幼い頃からの夢……愛する人と幸せな家庭を持つ。そんな平凡な夢さえ叶わない。

「もう……逃げたい」

 ふいに震える唇から本音が零れ落ちた。

 ……でも決して逃げない! 母の為に逃げるわけにいかない。

 指先で何度も涙を拭い両頬をパン! と掌で包み口角を上げて振り返ると、先程の男性が私を酷く切なげに見下ろしていた。

「……逃げたら? ダイブしたいほどに辛いのは、選択間違ってるって事じゃ?」

「…………そうですね」

 私は、真実を突きつけられた気がして彼を凝視するが、ハッと我に返り感情を殺し低い声で言い返した。

「何から逃げたいの?」

「……話しても何も変わらないので」

 そう、気休めにもならない。
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