★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~
 彼は、苦笑して水晶の打出の小槌を取り出し、目の前で澄んだ鈴の音を鳴らし私の右手に乗せてくれた。

「……可愛い~」

 良く見ると、小さな龍と微かな虹入りでテンション爆アゲとなるが、すぐに薬指のリングが目に入りテンション爆サゲ。

 ……って、何バカなこと思ってるの?

「でも奥さんへのお土産じゃ?」

「……いや、俺からなんて迷惑だし、まだ独身」

 迷惑……まだ独身?

 彼は、黙り込む私にまた苦笑しつつ、和ませようと少しおどけた笑みを見せた。

「俺、こう見えて意外とデキる男なんだ。その証に某有名企業の我社の社長に気に入られて、明日その一人娘と挙式。ただ恋人がいてごねてる彼女に、俺が愛想尽かし破談を恐れた社長が、手錠の如く指輪を……って俺、初対面の人に……。引くね、ごめん。気にしないで。情の欠片もないし仮面夫婦で十分」

 言葉と裏腹に寂しげな笑顔が余りに切なくて胸が痛み、また泣きたい気分で彼を見上げた。

「まさにデキる男オーラ全開ですよ。……でもそんな寂しげな顔……説得力ないです」

 私は、つい素直に口走りながら悲しみの粒を2粒落としてすぐに拭った。

「……そんな顔してる?」

「はい。とても」

 性分柄また素直に答えると、彼は虚ろな目で夜景を見下ろし、数分沈黙後にふと口を開いた。
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