キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~


新しいとはいえない7階建ての会社のビル。屋上のフェンスは所々錆びていて、中心部には物干し竿にタオルが揺れていた。
その周りには、掃除のおばちゃんが育てている、花や野菜の植えられたプランターがいくつか無造作に置いてある。



「昼休みに屋上に呼び出しって、なんか告白みたいですね」

なんて甲斐くんがクスクスと口元を緩めるから、こんなに笑う子だっけ?と何だか変な気分になる。


「ち、違うでしょ?甲斐くんが変なことするからでしょ」

甲斐くんと向かい合う様に顔を合わせれば、初夏の日差しが容赦なく突き刺さった。


「変なことって何ですか?」

きょとんと首を傾げるから、あの出来事が夢だったんじゃないかと思ってしまう。


「えーと、ほら。なんか、変な魔法みたいの?」

「魔法?先輩、何メルヘンチックな事言ってんですか??」

「だって!!じゃぁ、なんで割れたコップが……」







「ま、たいしたの使えませんけどね」


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