赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「その、匡さん、新婚旅行のときから避妊はどちらでもよさそうな感じだったから。もしかしたら早く赤ちゃんが欲しいのかなってずっと思ってたんです。滝さんから、祥子さんによる跡取りの催促が激しいとも聞いていましたし」

責めるような印象にならないように話すと、匡さんは「ああ、そういう意味か」と納得した声で言ってから続ける。

「祥子さんのことはまったく気にしていない。結婚についても子どもについても、たしかに口うるさく言ってきてはいたが、正直無責任な発言でしかないしどうでもいいと聞き流している。俺が避妊をしなかったのは、単純に美織との子どもが欲しいと考えたからだけだ」
「え……匡さん、子ども好きでしたっけ?」

子どもと遊んだりじゃれている姿をあまり見たことがないだけに……というか、まったくないだけに驚くと、匡さんは前を見たまま答えた。

「いや。〝子ども〟が好きなわけではない。ただ、俺と美織の子どもなら……と思うだけだ。これだけ好きになった美織との子どもだ。可愛くないはずがない」
「それは私も同じ意見です。匡さんとの赤ちゃんなら絶対に可愛い……」

まだ見ぬ赤ちゃんを思い浮かべてへらっと顔が緩んだ瞬間だった。
ひとつ前の匡さんの言葉を思い出しハッとする。


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