赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「はぁ? なにそれ。超性格悪いし図々しい。なんで匡くんがこんな女選んだのか謎でしかないんだけど」

私自身、図太いとは自負しているものの、性悪だとは思わない。
私だって善意を向けてくれる人相手に喧嘩腰にもならないし挑発だってしない。

でも、もうこれ以上つまらない口論を続ける気もないので黙っておくことにする。

紅茶の入ったカップに手を伸ばした麻里奈ちゃんの雰囲気からもピリピリとした棘はなくなっている。もう戦闘態勢は解かれたようだ。

気は強いけれど、こうして面と向かって相手をしているところを見る限り卑怯な手は使わなそうだし、色々と嘘がつけなそうだ。

総評すると悪い子ではない気がして、やっぱり心がほころび、ついでに顔もほころぶ。

そういえば、こんなふうに年の近い女の子と向かい合ってお茶をするなんて結婚してから初めてだ。

「麻里奈ちゃん海外留学してたんでしょ? 海外での大学生活なんて華やかそうで羨ましい。語学を学びながら他の教科も……なんて、すごいよね」

私は新婚旅行で行ったイタリアが初海外だったけれど、匡さんがいなければきっとドリンクをひとつ買うくらいが精々だったし、ひとりで暮らす上、外国語で授業を受けるなんてまず無理だ。想像もできない。

だから、感心して言うと、麻里奈ちゃんは少し困惑した顔をした後、腕を組んでまんざらでもない笑みを浮かべた。


< 85 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop