リスタート〜さよなら、私の初恋〜
なんで私はこんな事しているんだろう。最低だ。

「ひ、ひな……?大丈夫?」

不安そうな表情で私のことを心配してくれた紗奈。こんなに迷惑かけたのに、ビックリさせたのに、私のことを心配してくれる紗奈はやっぱり優しい。

「……大丈夫、急に引っ張ってごめんね」

無理やり口角をあげてそういう私に、紗奈は首を左右に振る。

「ううん、紗奈は全然大丈夫だよ〜」

私の作り笑顔なんかよりもずっと自然で可愛い笑顔で、紗奈はそう言ってくれた。紗奈の優しさは、初めて出会った中学生の頃から全く変わっていない。

「ありがとう紗奈」

さっきよりも自然な笑顔でそういうことが出来た。そんな私を見て紗奈は、また真剣な表情に戻り私に顔を近づけてきた。

「桐沢くんと何かあった?」

小さな声でそう言った紗奈は、まだ顔を近づけたまま私の言葉を待っている。紗奈はこういう時、嘘で誤魔化しても勘づいてしまうから正直に話すしかないかな……。紗奈になら、話してもいいよね。
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