リスタート〜さよなら、私の初恋〜
私の決心
今から、何年前だろう。多分小学3年生か4年生の頃の出来事。あの頃私は、背が高く髪も短く、兄のお下がりの服をよく来て、男の子と遊ぶことが多かったため女子にはよく思われていなかった。

『陽向ちゃんってほんとは男の子なんじゃないの?』
『陽向って名前も見た目も全部男の子だよね』
『いつも男の子と遊んでるのって男の子が好きだからでしょ?』

これは、体育のために着替えに行こうとした時に廊下でクラスの女子に浴びせられた言葉。今でも鮮明に覚えてる。私は、好きで高身長になったわけでも陽向って名前になった訳でもないのに。

『私は別に、あなたたちに女子だと思われなくてもいいよ』

あの頃の私は今よりずっとトゲトゲした性格だったから、こんな感じのキツい言葉を言った記憶がある。その言葉を聞いたクラスメイトは、怒ってさらに言葉の暴力を振るってきた。

『あたしは!陽向ちゃんみたいな男女が、瞬くんと仲良いのが嫌なの!瞬くんにはあたしたちみたいな、女の子らしい子がお似合いなの!瞬くんは陽向ちゃんなんかにまとわりつかれて迷惑なんだよ!』

そのグループの中心人物と言える、菜々香という人物にこの言葉を言われた時は、ものすごくショックを受けて何も言い返せなかった。

『お前らばかなの?』

固まってる私と、そんな私を睨みながら取り囲んでる彼女たちに突如浴びせられた言葉。その声が聞こえた方に振り返ると、瞬がいた。

『しゅ、瞬くん!?』

彼女たちは驚いてあたふたしていた。私は、この状況を見られたのが嫌で逃げ出そうとした。でも瞬はそんな私の腕を掴んで、私のことを取り囲んでいた彼女たちに怒ってくれた。

『陽向は女の子だよ。お前らなんかよりずっと可愛くて優しい女の子だ』

瞬のその言葉に、彼女たちは悔しそうに散っていく。私はというと、真っ赤になってその場に固まってしまっていた。

そんなこんなで瞬のことを意識し始めて、その頃から瞬に「かわいい女の子」だと思われたくて必死に髪を伸ばしたり、女の子になろうとしてきたんだ。
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